ひとことで言うと
「これだけは聞きたい」というテーマや問いをある程度決めておきながら、当日の流れに応じて自由に質問を足したり、順番を変えたりして進めるインタビューのやり方です。
定義
半構造化インタビューは、研究の問いに沿った主要なトピック・質問項目を事前にリスト化(インタビュー・ガイド)しつつ、当日の対話のなかで順序・表現・深掘りを臨機応変に調整するインタビュー手法です。
完全に台本化された構造化インタビュー(structured interview)と、テーマだけを共有して自由に展開する非構造化インタビュー(unstructured / depth interview)の中間に位置づけられ、両者の長所を併せ持つ形式として位置づけられます。
文脈と歴史
半構造化インタビューは、20世紀後半に質的研究が方法論的に体系化される過程で、最も実用的な形式として広く採用されてきました。社会学、人類学、看護学、教育学、臨床心理学、組織研究などの幅広い領域で用いられています。
事前に項目を絞ることで研究関心からの大きな逸脱を防ぎつつ、対話の流れに応じて予期しなかった話題にも踏み込めるため、探索的な研究と仮説検証的な研究のいずれにも対応しやすいという特徴があります。
主要な論点
1. 構造の度合いをどう設定するか
「半構造化」とひと口に言っても、項目を細かく設定して順序まで決めるか、大きなトピックだけ示して自由に展開するかで、得られる語りの性質は大きく異なります。研究の問いと対象者の特性に応じて、構造化の度合いを設計することが重要です。
2. インタビュー・ガイドの作り方
ガイドは、研究関心を導くトピック・質問・追跡質問(probe)を整理した文書です。質問はオープン・エンデッドな表現を中心に、誘導的にならないよう注意を払う必要があります。実施を重ねるなかでガイド自体を改訂していく反復的なプロセスもよく取られます。
3. 聞き手の介在をどう扱うか
半構造化インタビューでは、聞き手の質問・反応が語りの方向に影響します。語りを引き出す技法(傾聴、要約、深掘り)と、それが分析にどのような影響を与えるかについてのリフレクシブな振り返りが、研究の質を支えます。
TSIRの研究との関わり
TSIRのインタビュー研究は、いずれも半構造化インタビューを基本形式として設計されています。「子どもを持つ理由・持たない理由」「仕事・育児をしながら創作をする理由」「発達障害に関するインタビュー」のいずれも、テーマに即した主要な質問項目を準備しつつ、語り手のペースと文脈に合わせて柔軟に展開する方針を共有しています。
また、各プロジェクトでインタビュー・ガイドを反復的に改訂しており、初期のインタビューから得られた知見を、次の対象者への問いかけに反映させていく形をとっています。
関連する用語
参考文献・参考資料
- ウヴェ・フリック『新版 質的研究入門』(春秋社, 2011)
- 佐藤郁哉『質的データ分析法』(新曜社, 2008)
- 盛山和夫『社会調査法入門』(有斐閣, 2004)
※ 参考文献は順次追加・整理していきます。
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