用語分類:社会政策 監修:吉岡詩織 最終更新:2026-05-09
社会政策学者ヨスタ・エスピン=アンデルセンが提示した、福祉国家のしくみを類型化し、その背後にある原理を比較するための分析枠組みです。社会保障の手厚さだけでなく、市場・家族・国家の役割分担に注目し、自由主義型・保守主義型・社会民主主義型といった類型を設けて議論を進めることが特徴です。

ひとことで言うと

「福祉国家」と一口に言っても、国によってかなりかたちが違います。それを「市場・家族・国家のどこに重みを置いているか」で類型化して比べる、という枠組みです。

定義

福祉国家レジームは、福祉国家を、給付水準だけでなく、市場・家族・国家・市民社会の役割分担、給付の権利性、社会的階層化への影響などを総合的に捉える分析単位として位置づける概念です。代表的な類型として、自由主義型、保守主義型(コーポラティスト)、社会民主主義型が論じられます。

文脈と歴史

20世紀末に提示された比較福祉国家研究の枠組みで、その後、東アジアや南欧、ジェンダー視点からの修正など、多様な拡張が試みられています。福祉政策の比較分析の出発点として、現在も広く参照されています。

主要な論点

1. 脱商品化

労働市場への依存を弱める給付がどれだけ保障されているかを示す概念で、レジーム比較の中心軸のひとつです。失業・疾病・退職時に、市場の論理から離れた支えがあるかどうかが問われます。

2. 家族主義との関係

ケアを家族(とりわけ女性)に依存するレジームと、社会化が進むレジームの違いは、ジェンダー視点からの修正によって明確化されました。家族主義の強さは、福祉国家の重要な分析軸となっています。

3. 日本の位置づけ

日本の福祉国家レジームは、複数の類型の特徴を持つ折衷的なものとして論じられてきました。雇用と家族に大きく依存する点が特徴的です。

4. 政策変化と類型の流動性

各国のレジームは固定的ではなく、政策変化のなかで類型を超えて変動します。新自由主義的改革、ケアの社会化、ベーシックインカム議論などは、レジーム研究の現代的なテーマです。

TSIRの研究との関わり

TSIRが扱う育児・ケア・働き方のテーマは、福祉国家レジームの論点と密接に絡みます。プロジェクト「子どもを持つ理由・持たない理由」では、語り手の選択を、家族や市場に多くを委ねる日本社会のしくみのなかに位置づけて理解する視点が役立ちます。

関連する用語

参考文献・参考資料

※ 参考文献は順次追加・整理していきます。

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