用語分類:社会政策 編集:栗林康弘 最終更新:2026-05-09
すべての人に対して、所得や雇用状況にかかわらず、無条件で一定額の現金を継続的に給付する所得保障の構想です。20世紀後半から21世紀にかけて、貧困・不平等・労働の変化への応答として、さまざまな立場から議論されてきました。

ひとことで言うと

「働いているかどうか」「収入があるかどうか」を問わず、すべての人に毎月一定額を配ろう、という所得保障のアイデアです。

定義

ベーシックインカム(BI)は、市民・住民の全員に対して、所得・資産・就労状況などの条件を問わず、定期的に一定額の現金を給付する所得保障の制度設計を指します。具体的な給付水準・財源・既存制度との関係には多様な構想があります。

文脈と歴史

20世紀後半から、貧困対策、官僚的な給付制度の煩雑さの解消、技術変化に伴う雇用の不安定化への応答として議論されてきました。21世紀には、各国で部分的な実験や試行が行われ、議論がより具体化しています。

主要な論点

1. 労働インセンティブ

無条件の給付が、人々の働く意欲にどう影響するかは、賛否双方から議論される論点です。実証研究の知見を踏まえた慎重な議論が続いています。

2. 財源と再分配

必要な財源規模は構想によって大きく異なります。所得税・消費税・資産課税など、財源設計と再分配の関係をどう考えるかが重要な論点です。

3. 既存制度との関係

年金、生活保護、雇用保険、児童手当など、既存の社会保障制度との整理が必要です。BIで何を置き換え、何を残すかの設計は、制度改革の核となります。

4. 自由と尊厳

BIは、人々を貧困から守ると同時に、生き方の選択の自由を広げる可能性を持つと論じられます。一方で、ケア労働の評価や社会的包摂をどう確保するかは、依然として課題です。

TSIRの研究との関わり

TSIRが扱う「育児と仕事と創作の両立」のテーマは、生活を支える所得保障のあり方と切り離せません。プロジェクト「仕事・育児をしながら創作をする理由」では、不安定な収入のなかで創作を続けることのリアリティが繰り返し語られ、BIのような所得保障構想が議論される背景の一端が見えてきます。

関連する用語

参考文献・参考資料

※ 参考文献は順次追加・整理していきます。

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