ひとことで言うと
お金がないことだけが問題ではなく、人と人とのつながり・社会への参加から切り離されていくこと、それ自体が大きな問題だ、という見方です。
定義
社会的排除は、所得・住居・雇用・教育・医療・社会参加・関係性・承認など、社会の諸領域における参加と帰属の機会から、複合的に切り離されていく過程と状態を指します。貧困を所得だけで捉える限界を超えるための概念として広く用いられています。
文脈と歴史
20世紀末のヨーロッパで政策概念として広がり、貧困研究と接続しながら発展しました。日本でも、生活困窮者支援、ホームレス支援、若者支援、ひきこもりや孤立の議論などのなかで参照されています。
主要な論点
1. 多次元性
社会的排除は、複数の領域の不利が重なり合って生じます。単一の指標では捉えきれない複合的な状態です。
2. プロセス性
排除は固定的な状態ではなく、時間のなかで進行・深化するプロセスです。介入のタイミングとあり方を考えるうえで、プロセスの理解が重要です。
3. 包摂の質
「包摂」と一括りに言っても、その内実はさまざまです。形式的に組み込まれることが、必ずしも当事者の経験のうえで「包摂された」ことを意味しません。
4. 政策的応答
所得保障、住居保障、就労支援、関係づくりの場の整備、社会参加の機会の確保など、複合的な政策の組み合わせが必要です。
TSIRの研究との関わり
TSIRが扱う家族・育児・支援のテーマは、社会的排除のリスクと隣り合わせの領域でもあります。プロジェクト「支援現場の最前線」では、関係を結び直し、社会参加の機会を広げる現場の取り組みに耳を傾けています。
関連する用語
参考文献・参考資料
※ 参考文献は順次追加・整理していきます。
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