ひとことで言うと
社会は大きな構造として「上から」存在しているのではなく、人と人がシンボルで意味をやりとりしている瞬間瞬間から、つくられている——という立場です。
定義
シンボリック相互作用論は、人間の行動が、対象に対する意味づけに基づいて行われ、その意味が他者との相互作用のなかで生成・修正されることに注目する社会理論です。意味は固定的に存在するのではなく、解釈のプロセスを通じて絶えずつくり直されていくものとして扱われます。
文脈と歴史
20世紀前半のシカゴ学派の都市研究やプラグマティズム哲学を背景に、ジョージ・ハーバート・ミードらの議論が下地となり、その後にブルーマーが「シンボリック相互作用論」として定式化しました。エスノグラフィー、生活史研究、逸脱研究などの実証研究と密接に結びつきながら発展してきました。
主要な論点
1. 意味の構成
意味はあらかじめ事物に備わっているのではなく、人々がそれをどう扱うかという実践のなかで生まれます。同じ対象も、状況や関係によって異なる意味を帯びます。
2. 自己と他者
自己もまた、他者の視点を取り入れることで形作られるとされます。鏡に映る自分のように、他者を介して自分を見るというプロセスが、自己理解の核に据えられます。
3. 構造と相互作用
シンボリック相互作用論は、社会構造を否定するわけではなく、それが日々の相互作用のなかで再生産・変容することに焦点を当てます。「ミクロ」と「マクロ」の関係をどう論じるかは継続的な論点です。
4. 質的研究との親和性
意味の解釈プロセスを研究するためには、観察やインタビューを通じて当事者の視点に近づく方法が必要です。シンボリック相互作用論は、質的研究の理論的支柱のひとつとして広く参照されています。
TSIRの研究との関わり
TSIRがインタビューで語り手の経験を聞き取るとき、その語りは、語り手と聞き手の相互作用のなかで構成されている、というシンボリック相互作用論的な前提に立っています。プロジェクト「子どもを持つ理由・持たない理由」では、選択そのものが、社会の言葉や周囲のまなざしとの相互作用のなかで意味づけられていく過程として読み解かれます。
関連する用語
参考文献・参考資料
※ 参考文献は順次追加・整理していきます。
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