ひとことで言うと
「あたりまえ」「自然」と思っている事柄の多くが、実は人々のやりとりや言葉の使い方を通じてつくられたものだ——という見方を持ちましょう、という立場です。
定義
社会的構築主義は、社会的な現実、知識、カテゴリー、アイデンティティが、絶対的・客観的に存在するのではなく、社会的相互作用と言語実践を通じて構築されると考える理論的立場の総称です。バーガーとルックマンの古典的議論や、フェミニズム理論、医療社会学、逸脱研究などで広く展開されてきました。
文脈と歴史
20世紀後半の人文社会科学において、自然科学のような実在主義的な前提を社会現象に当てはめることへの方法論的反省として広がりました。ジェンダー、人種、家族、精神疾患、犯罪などのカテゴリーが、いつ・どのように形づくられてきたかを問う研究が大きく進みました。
主要な論点
1. 「自然」の歴史化
社会的構築主義は、自然・本質的・普遍的とされてきたカテゴリーを、歴史的・社会的に位置づけ直す視点を提供します。これは批判的な意義を持つと同時に、相対主義の批判も招いてきました。
2. 構築の階層
「すべてが構築だ」と一括りに語ると粗くなります。何の何による構築なのか、それがどの水準で問われているのかを区別する必要があります。
3. 実在論との対話
身体・気候・経済構造のような実在的次元と、それらに対する社会的解釈の次元を、どう接続するかは継続的な論点です。批判的実在論などとの対話が続いています。
4. 実践への含意
社会問題の研究、医療や教育の現場、政策評価など、構築主義的視点は、当事者のカテゴリー化を一度引き戻して問い直す道具として機能します。
TSIRの研究との関わり
TSIRが扱う「家族」「子育て」「育児と仕事の両立」「発達障害」などは、いずれも社会的に構築されたカテゴリーが、人々の経験を強く方向づけている領域です。プロジェクト「子どもを持つ理由・持たない理由」では、選択を語る言葉そのものが、特定の社会的構築の上に成り立っていることを意識しつつ、語りに耳を傾けています。
関連する用語
参考文献・参考資料
※ 参考文献は順次追加・整理していきます。
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