用語分類:社会理論 監修:吉岡詩織 最終更新:2026-05-09
社会学者ウルリッヒ・ベックらが提示した時代区分の概念で、産業近代が積み上げた制度・知識・技術が、それ自身の前提を揺さぶる段階に入った現代社会のかたちを指します。リスク社会論、再帰的近代化論、個人化論などと密接に結びつきながら、グローバル化以後の社会を読み解く枠組みとして展開されました。

ひとことで言うと

近代がうまく行きすぎた結果、近代の前提そのものが揺らぎ始めた時代——というイメージで、現代を描く概念です。

定義

第二の近代は、伝統からの解放と国民国家・産業社会・近代家族の確立を達成した「第一の近代」を背景に、グローバル化、個人化、技術リスク、生態系の限界、ジェンダー秩序の揺らぎなどによって、近代自身の前提が再帰的に問い直される段階を指します。

文脈と歴史

20世紀末から21世紀初頭にかけての社会理論で、ベックの「リスク社会」「個人化」、ギデンズの再帰的近代化論などと並んで論じられてきました。社会の中心的な不安や問題が、外的な敵から、近代そのものが生み出した副産物へと移ったとされます。

主要な論点

1. リスクの内在化

戦争・貧困といった外的なリスクに加えて、技術・環境・金融・気候など、近代自身が生み出すリスクが社会の中心問題になります。これらは国境を越え、計算しきれない性格を持ちます。

2. 個人化

家族、職業、地域、ジェンダー役割といった伝統的な枠組みからの離脱が進み、人生の選択と責任が個人に強く帰せられるようになります。同時に、自由と不安が表裏一体となります。

3. 制度の追いつかなさ

第一の近代に作られた福祉国家・労働制度・家族モデルが、第二の近代の現実に追いつかない、というギャップが、新しい社会的リスクとして現れます。

4. 国境の相対化

気候変動、感染症、金融危機、移動など、国家の枠組みでは対処しきれない問題が前景化します。グローバル化の社会理論との接点が大きい論点です。

TSIRの研究との関わり

TSIRが扱う「子どもを持つかどうか」「育児と仕事と創作の両立」「発達障害と社会の包摂」といったテーマは、いずれも第二の近代の論点と重なります。プロジェクト「子どもを持つ理由・持たない理由」「仕事・育児をしながら創作をする理由」は、個人化が進んだ社会で、人が自分の人生をどう編んでいるかを聞く営みとも言えます。

関連する用語

参考文献・参考資料

※ 参考文献は順次追加・整理していきます。

質的研究法・インタビュー研究について、講演・執筆・取材のご依頼を承っています。

お問い合わせCONTACT