用語分類:障害学 監修:吉岡詩織 最終更新:2026-05-09
障害を、個人の身体・機能・精神の問題として捉え、医療や治療によって対処すべき対象とみなす伝統的な見方を指します。20世紀後半以降の障害学では、障害の社会モデルとの対比のなかで、医学モデルの限界が批判的に検討されてきました。

ひとことで言うと

障害を「その人の体や機能の不具合」として捉え、医療で治すべきものと考えるのが、医学モデルの基本的な見方です。

定義

障害の医学モデル(個人モデル)は、障害を個人の身体的・精神的機能の障害(インペアメント)として捉え、それを治療・リハビリテーションによって克服・矯正することを目指す見方です。20世紀の医療・福祉制度の多くがこのモデルを下敷きにして組み立てられてきました。

文脈と歴史

近代医療の発展とともに広がった見方ですが、20世紀後半に登場した障害の社会モデルは、医学モデルが障害を個人の問題に閉じ込め、社会の側の障壁を見えにくくすると批判しました。両者の対比を通じて、障害の理解は大きく更新されてきました。

主要な論点

1. 障害の所在

医学モデルは、障害を個人の身体・機能のなかに位置づけます。これに対し社会モデルは、社会的障壁こそが障害を生み出すと主張します。両者の対比は、障害を考えるうえで基本的な構図です。

2. 治療と支援の関係

医療的介入は重要ですが、それだけでは生活の困難は解決しません。社会的支援、合理的配慮、環境整備と、医療的アプローチをどう組み合わせるかが論点になります。

3. 当事者の声

医学モデルのもとでは、当事者が「治すべき対象」として位置づけられ、自分のありようを肯定しにくくなる場合があります。当事者の声を尊重する姿勢への転換が、近年の議論の中心です。

4. 現代の医療の役割

医学モデルを批判することは、医療を否定することではありません。医療は依然として重要な役割を担いつつ、その枠組みを過度に押し広げないことが、現代の支援設計の課題です。

TSIRの研究との関わり

TSIRが扱う発達障害・支援のテーマでは、医学モデルと社会モデルの両方が現実のなかで作用しています。プロジェクト「支援現場の最前線」では、診断や治療の枠だけに収まらない、生活の文脈の支援がどう編まれているかを聞いています。

関連する用語

参考文献・参考資料

※ 参考文献は順次追加・整理していきます。

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