ひとことで言うと
「みんな似ているからつながる」連帯と、「みんな違うからこそ補い合う」連帯。社会の結びつきには、この二つの形がある、という見方です。
定義
機械的連帯(mechanical solidarity)は、社会成員が同じ価値・信念・慣習を共有することで結びつく形を指し、伝統的な共同体に典型的に見られるとされます。有機的連帯(organic solidarity)は、社会の分業が進み、異なる役割を担う人々が相互依存することで成り立つ結びつきを指し、近代社会で優位を占めるとされます。
文脈と歴史
19世紀末に提示された議論で、近代社会への移行を解釈する古典的な枠組みのひとつです。「分業の進展は人々を孤立させるのではないか」という当時の懸念に対して、分業こそが新しい連帯を生み出すというデュルケムの応答として読まれてきました。
主要な論点
1. 連帯の質の変化
機械的連帯から有機的連帯へという移行は、単に古いものから新しいものへの直線的変化ではなく、二つの連帯が現代社会のなかで重なり合っている、と現代の研究は捉え直しています。
2. アノミーとの関係
分業が秩序ある連帯を生むためには、共通の規範が必要だ、という議論は、デュルケムのアノミー論と直結しています。連帯の機能不全としての社会病理を考える際の基本概念です。
3. 集合意識
機械的連帯は強い集合意識に支えられていますが、有機的連帯では集合意識の形式が変わると論じられます。共有される規範の射程とつくり方をめぐる論点はいまも続いています。
4. 現代社会への適用
多文化化、個人化、グローバル化が進むなかで、現代社会の連帯はどのような形をとるのか。古典的な対概念は、その問いを考える出発点として参照されます。
TSIRの研究との関わり
TSIRが扱う家族・地域・支援のテーマは、いずれも何らかの「連帯」の形を問う領域です。プロジェクト「支援現場の最前線」のような取り組みは、現代社会の有機的連帯のなかで、ケアと専門分業がどのように絡み合っているかを考える素材を提供しています。
関連する用語
参考文献・参考資料
※ 参考文献は順次追加・整理していきます。
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