ひとことで言うと
制度や行為には「表向きの目的」と「そうとは意図されないけれど果たしている役割」がある、という見方です。後者を見つけることが、社会学的分析のひとつの面白さでもあります。
定義
顕在的機能は、当事者が意図し認識している機能を指し、潜在的機能は、意図されておらず本人も気づきにくい機能を指します。さらにマートンは、制度が逆に集団に害を与える「逆機能」も区別しました。これらは制度や行為の社会的効果を多角的に分析するための概念装置です。
文脈と歴史
20世紀半ばに提示された概念で、機能主義社会学のなかで、制度の評価を硬直化させない柔軟な分析道具として展開されました。逸脱、教育、組織研究など、応用は多岐に及びます。
主要な論点
1. 意図と機能の分離
行為や制度の意図と、それが社会のなかで果たす機能を区別することで、表向きの目的に隠れた効果を可視化できます。儀礼や慣習の研究で、この区別はとくに有効です。
2. 機能と原因の混同
「機能している」ことが、その制度の存在原因とは限らない、という注意が必要です。機能分析は因果分析ではないことを踏まえて議論する姿勢が求められます。
3. 逆機能
制度はしばしば、ある集団に対して有用でも別の集団には不利益をもたらします。逆機能の概念は、機能主義を保守的だと批判する論点にも、批判的に応答する道具にもなります。
4. 現代的応用
SNS、教育制度、就活、福祉制度など、現代の社会現象を読み解く際にも、表向きの機能だけでなく潜在的機能・逆機能を見出す視点はいまも有効です。
TSIRの研究との関わり
TSIRが扱う家族・育児・支援の制度は、表向きの機能と現場で果たされている役割が必ずしも一致しません。プロジェクト「支援現場の最前線」のような取り組みでは、制度や支援の「想定されていなかった効果」「副次的に支えているもの」を、現場の語りから読み解く作業を続けています。
関連する用語
参考文献・参考資料
※ 参考文献は順次追加・整理していきます。
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