用語分類:質的データ整理 監修:吉岡詩織 最終更新:2026-05-09
断片的な情報やアイデアをカードに書き出し、似たもの同士をグループ化しながら全体像を組み立てていく発想法・整理法です。文化人類学者の川喜田二郎が体系化し、研究データの整理から企画立案・組織のワークショップまで、幅広い場で用いられてきました。

ひとことで言うと

たくさんの断片を「分類しながら、考える」ための道具です。ばらばらの言葉や情報をカードにし、似たもの同士を寄せ集めて見出しをつけ、図にしていくことで、自分でも気づいていなかった構造が浮かび上がります。

定義

KJ法は、フィールドノートやインタビュー逐語録、会議の記録など、雑多な質的データから、研究対象や問題の全体像を組み立てるための整理法です。「カード化」「グループ化」「図解化」「文章化」というステップを基本とし、ボトムアップに概念や構造を編み出していきます。

文脈と歴史

文化人類学のフィールドワークから得られる膨大な雑多データを整理する必要から発展したと言われており、20世紀後半以降、研究領域に限らず、商品開発・地域計画・教育の場などで広く活用されてきました。日本発の発想法として、海外の質的研究法とも比較されながら参照されています。

主要な論点

1. カードの作り方

1枚のカードに1つの内容、簡潔に書く、というのが基本です。カードの粒度がそろっていないと、後のグループ化がうまく機能しません。

2. 似たもの同士を寄せる

あらかじめ決めた分類軸に当てはめるのではなく、内容の似たカードを集めながら、共通する見出しを後づけで言葉にしていきます。この「あとから言葉にする」プロセスが、KJ法の核です。

3. 図解と文章化

グループ同士の関係を空間的に配置し、矢印や線で関係を描くことで、全体像を視覚化します。最後に、その図を踏まえて文章でまとめることで、構造を言葉として残します。

4. 質的研究との関係

KJ法はオープンコーディングや概念化と重なる作業を含みますが、必ずしも理論構築を目的としていない点が異なります。研究データの一次整理の段階で、考えを動かす道具として用いられることが多いです。

TSIRの研究との関わり

TSIRがインタビュー記録を扱う際、語りの中に繰り返し現れるテーマや関心の輪郭をつかむ段階で、KJ法的な作業を取り入れる場面があります。プロジェクト「子どもを持つ理由・持たない理由」では、複数の語りに共通する論点を抜き出し、見出しを与え、項目間の関係を整理する作業が、後の分析の足場になります。

関連する用語

参考文献・参考資料

※ 参考文献は順次追加・整理していきます。

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