ひとことで言うと
もとのグラウンデッド・セオリー・アプローチを、日本の研究実践でも使いやすいかたちに整理し直した分析法です。「どこからどう手をつけるか」が比較的見えやすくなっています。
定義
修正版GTA(M-GTA)は、テクストデータからその場面ごとに概念を生成し、それらを関係づけてプロセスやしくみを記述するための質的データ分析法です。コーディングをデータの細部に張り付けるのではなく、研究者の問題関心に沿った「分析テーマ」のもとで概念を取り出す点に特徴があります。
文脈と歴史
20世紀後半に提案されて以降、看護学・福祉学・教育学を中心に普及し、現在では多くの大学院教育で取り上げられています。グラウンデッド・セオリー・アプローチをそのまま日本に持ち込むのではなく、日本の研究文脈に合うかたちで再構成した点が、広がりの背景にあります。
主要な論点
1. 分析テーマの明示
分析を始める前に、研究者が何を明らかにしようとしているのかを「分析テーマ」として明示します。これにより、コーディングの焦点が定まり、データのどの側面を概念化するかが整理されます。
2. 概念ワークシート
個々の概念について、定義・典型例・対立例・理論的メモを書き留めるワークシートを用います。概念の輪郭を可視化することで、分析過程の透明性が高まります。
3. 結果図の作成
生成された概念を関係づけ、現象のプロセスやしくみを図として表現します。結果図は読者への提示形式であると同時に、分析者にとっての思考整理のツールでもあります。
4. GTAとの違い
もとのグラウンデッド・セオリー・アプローチに比べ、コーディングの単位を扱いやすく整理している点、研究者の関心を分析テーマとして前景化する点が、M-GTAの特徴として挙げられます。
TSIRの研究との関わり
TSIRが扱うインタビュー記録には、複数の人の語りに共通するパターンと、個別の経験の固有性が同居しています。M-GTA的な手続きは、共通項を概念として抜き出しながらも、研究者の問題関心を明示しておくという、私たちの分析姿勢と相性が良いものです。
プロジェクト「仕事・育児をしながら創作をする理由」では、語りに繰り返し現れる工夫や葛藤を概念化する作業の参照点として、M-GTAの考え方を活用しています。
関連する用語
参考文献・参考資料
※ 参考文献は順次追加・整理していきます。
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