ひとことで言うと
家族・恋愛・友人など、「親しさ」の中身がどう作られ、どう変わってきたかを問う言葉です。プライベートそのものを社会学の対象に据える視点でもあります。
定義
親密性(intimacy)は、特定の他者との情緒的・身体的・物語的な近さを指す概念で、社会学・歴史学・心理学などで広く用いられます。近代以降、親密性は「恋愛結婚」「個人の選択」「情緒的支え」といった理念と結びつきながら、社会の中心的価値の一つとして位置づけられるようになりました。
文脈と歴史
歴史社会学的には、親密性は近代家族の成立とともに新しい意味を持つようになり、その後、純粋関係性、流動的なパートナーシップ、多様なケア関係など、現代に至るまで多様な形で展開してきました。フェミニズム、クィア理論、ケアの倫理など、複数の理論的視角から論じられています。
主要な論点
1. 愛と契約
親密性は、契約や制度から自由な情緒的関係として理想化されがちですが、実際には法・経済・社会規範と深く絡み合っています。理念と現実のあいだの緊張が、親密性研究の重要な論点です。
2. 純粋関係性との接続
現代社会では、相手との関係性そのものから得られる満足を基盤とする「純粋関係性」が広がっているとされます。親密性は、関係を続ける根拠が関係そのものに置かれるという特徴を強めています。
3. 多様化と排除
親密性のかたちが多様化する一方で、特定の形(異性愛・婚姻・血縁)が依然として制度的に優遇されている現実があります。多様な親密性をどのように制度化し承認するかが論点となります。
4. テクノロジーと親密性
SNS、マッチングアプリ、遠隔コミュニケーションは、親密性のあり方に新しい層を加えています。距離・時間・身体性をめぐる条件の変化は、現代的な研究テーマです。
TSIRの研究との関わり
TSIRが扱う家族・育児・パートナーシップは、いずれも親密性が組み立てられる現場です。プロジェクト「子どもを持つ理由・持たない理由」では、語り手にとって「親密な関係」がどんな形で大切にされ、どう揺らぎ、どう更新されているかが、選択の背景にあるテーマとして繰り返し現れます。
関連する用語
参考文献・参考資料
※ 参考文献は順次追加・整理していきます。
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