用語分類:家族社会学・労働社会学 監修:吉岡詩織 最終更新:2026-05-09
仕事と生活——家庭、育児、地域活動、自己実現——の調和を図ろうとする政策・実践・規範の総体を指します。長時間労働の是正、育児・介護の両立支援、柔軟な働き方の制度整備などが具体的な課題として論じられます。一方で、政策の名のもとに何を「ライフ」に含めるかが論点になることもあります。

ひとことで言うと

仕事と暮らしのバランスを取れるようにしよう、という政策・職場づくりの方針です。同時に、何を「暮らし」と数えるかという問いを含んでいます。

定義

ワーク・ライフ・バランス(WLB)は、労働生活と、それ以外の生活(家庭・育児・介護・地域・自己実現)が両立可能なかたちで営まれる状態と、それを実現するための政策・制度・職場環境の総称です。長時間労働の是正、有給休暇の取得、育児・介護休業、テレワーク、フレックスタイムなどが具体的施策として挙げられます。

文脈と歴史

20世紀末から21世紀にかけて、男女共同参画や少子化対策の文脈で政策的に強調されるようになりました。長時間労働の慣行、育児休業の取得状況、介護負担、地方と都市の差など、複数の課題が重なって議論されています。

主要な論点

1. 「ライフ」の中身

ワーク・ライフ・バランスは、しばしば「家事・育児」を中心にイメージされがちですが、自己実現、地域活動、休息、創作など、より広い領域を含めて考える必要があります。

2. ジェンダーとの関係

育児・家事の負担が女性に偏ってきた現実のなかで、ワーク・ライフ・バランスは女性の問題として語られがちですが、男性の働き方・ケア参加を含めて議論すべきだと指摘されています。

3. 労働市場との関係

非正規雇用、フリーランス、複業など、働き方が多様化するなかで、政策の射程も拡張が必要です。雇用形態によって受けられる支援に大きな差があることも論点です。

4. 企業文化

制度があっても利用しにくい職場文化のもとでは、ワーク・ライフ・バランスは実現しません。長時間労働を評価する規範や、休業利用への暗黙の圧力など、文化的次元への注目が重要です。

TSIRの研究との関わり

TSIRのプロジェクト「仕事・育児をしながら創作をする理由」は、まさにワーク・ライフ・バランスの「ライフ」をどう編むかという問いに重なります。仕事と育児だけでなく、創作のような自己表現の営みをどう生活に位置づけるかは、現代的な論点として浮上しています。

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参考文献・参考資料

※ 参考文献は順次追加・整理していきます。

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