用語分類:発達・教育 監修:吉岡詩織 最終更新:2026-05-09
特別支援教育(special needs education)とは、障害のある子ども一人ひとりの教育的ニーズに応じて、適切な指導・必要な支援を行う日本の学校教育における枠組みです。2007年の学校教育法改正により従来の「特殊教育」から大きく転換し、すべての学校・学級を対象とする教育として位置づけられています。

ひとことで言うと

障害のある子ども一人ひとりに合わせて、必要な支援や指導を行う教育の枠組みです。特別支援学校・特別支援学級・通級・通常学級のいずれの場でも実施されます。

定義

特別支援教育は、文部科学省の定義によれば「障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うもの」とされています。

教育の場としては、(1)特別支援学校、(2)特別支援学級、(3)通級による指導、(4)通常学級における支援、の4つが整備されており、子どもの状態と保護者の意向に応じて選択・移動が可能です。

文脈と歴史

日本の特殊教育は、戦後長らく障害の種別ごとの学校制度を中心としてきましたが、2007年の学校教育法改正により「特殊教育」から「特別支援教育」へという大きな転換が行われました。これは、対象を従来の障害種別から発達障害を含めて拡大し、すべての学校で支援を行うという理念転換を伴うものです。

近年は、インクルーシブ教育の理念のもとで、障害のある子もない子もできる限り共に学ぶ環境づくりが進められています。一方で、教員の専門性、人員配置、施設・設備、保護者の理解など、現場では多くの実践的課題が継続しています。

主要な論点

1. インクルーシブ教育の進展と課題

国連障害者権利条約の批准(日本は2014年)を受けて、インクルーシブ教育の推進が制度的に求められています。一方で、通常学級での支援人員の不足、合理的配慮の十分な提供の困難、教員の専門性のばらつきなど、現場の負担が大きな課題として残っています。

2. 通常学級における特別支援

発達障害を含めると、通常学級にも一定割合の支援が必要な子どもがいることが知られています。「通常学級のなかでどう支援を組み込むか」は、現代の特別支援教育の中心的な課題のひとつです。本人・家族・通常学級担任・特別支援担当の連携が要求されます。

3. 進学・就労への接続

特別支援教育を受けた子どもたちが、その後の進学・就労にどうつながっていくかは、教育だけで完結する問題ではありません。福祉・医療・就労支援との連携を、当事者のライフコース全体を見通して設計することが求められています。

TSIRの研究との関わり

TSIRの「発達障害に関するインタビュー」プロジェクト(TABU-01)は、特別支援教育の現場に長く携わってきたたぶ先生(堂林タブ)を中心に、現場の知見を社会学的な分析につなげていくことを目指すものです。

通常学級での支援、特別支援学級・通級の運用、特別支援学校との接続、保護者・地域・福祉との連携など、制度の文言だけでは見えてこない現場の実態を、当事者・家族・支援者の語りから掘り起こしていきます。特別支援教育は、TSIRが社会学的視点から教育現場の課題に接続していくための中心的な領域のひとつです。

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参考文献・参考資料

※ 参考文献は順次追加・整理していきます。

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