用語分類:家族社会学 編集:栗林康弘 最終更新:2026-05-09
血縁・婚姻・異性愛を必須としない、多様な形で営まれる家族のかたちを総称する概念です。ひとり親家庭、ステップファミリー、同性カップル、事実婚、選択的家族、世代を越えた共同生活など、現代社会で実際に営まれる家族の多様性を視野に入れる視点として広く用いられています。

ひとことで言うと

「家族はこういう形」という一つのモデルだけではなく、現代の家族には実にさまざまな形があるんだよ、ということを正面から認める言い方です。

定義

多様な家族とは、夫婦と子からなる近代家族モデルを唯一の規範とせず、多様な構成・形態の家族を含めて捉える概念です。法制度上の家族と、生活実態としての家族のあいだのずれを意識しながら使われます。

文脈と歴史

20世紀末から21世紀にかけて、未婚・離婚・再婚・同性カップルの可視化など、家族の多様化が進みました。家族研究、政策議論、メディア表象のいずれにおいても、「多様な家族」を前提とする見方が広がっています。

主要な論点

1. 制度との不一致

多様な家族は、税・社会保障・相続・医療同意などの制度のうえでは、しばしば不利な扱いを受けます。制度の設計をどのように現実に追いつかせるかは、現代的な政策論点です。

2. 規範の再編

「家族はこうあるべき」という規範が変化するなかで、新しい規範が生まれる動きと、既存の規範が残存する動きが並走しています。多様化は単線的に進むわけではありません。

3. ケアの担い手

家族のかたちが多様化するなかで、ケアを誰がどのように担うかという問題は、より複雑で重要になります。家族の枠だけでケアを考えない発想が広がっています。

4. 当事者の語りの重要性

多様な家族の実態は、統計だけでは捉えきれません。当事者の語りを聞くことは、家族研究の重要な情報源です。

TSIRの研究との関わり

TSIRが扱う家族のテーマは、特定のモデルに当てはめずに、語り手それぞれの家族のかたちを尊重しようとしています。プロジェクト「子どもを持つ理由・持たない理由」では、家族の多様性を前提として、選択の文脈を聞き取ることを心がけています。

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参考文献・参考資料

※ 参考文献は順次追加・整理していきます。

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