ひとことで言うと
「むかしからそうだから」「気持ちがそうだから」ではなく、「目的のために最も効率がよいから」「計算で見通せるから」が判断の基準になっていく、社会全体のながれのことです。
定義
合理化(Rationalisierung)は、社会の諸制度や生活様式が、目的合理的な観点からの計算可能性・予見可能性・効率性を強める方向に変容していく過程を指します。ヴェーバーはこれを近代化の中核に位置づけ、官僚制や資本主義経済の発達と結びつけて論じました。
文脈と歴史
ヴェーバーは、宗教や呪術が世界の意味づけを担っていた状態から、世界が計算可能な対象へと「脱魔術化」されていく過程として、合理化を描きました。これは経済合理性だけの話ではなく、法、行政、芸術、生活倫理など、社会のあらゆる領域に広がる過程として理解されます。
20世紀後半以降は、ハーバーマスが目的合理性とコミュニケーション的合理性を区別したり、リッツァが「マクドナルド化」として合理化の現代的展開を論じたりと、概念のさらなる展開が続いています。
主要な論点
1. 解放と支配の二面性
合理化は、伝統的な制約から人々を自由にする面を持つと同時に、官僚制や効率の論理に縛りつける面も持ちます。ヴェーバーが「鉄の檻」という比喩で示したのは、この両面性を含意しています。
2. 合理性の複数性
合理化と一口に言っても、目的合理性、価値合理性、形式合理性、実質合理性など、複数の合理性が区別されます。それらは時に矛盾し、近代社会の緊張の源にもなります。
3. 意味の喪失
世界が計算可能な対象になるほど、なぜ生きるのか、何を大事にするのかといった意味の問いは、社会的に答えにくくなる傾向が指摘されます。合理化と意味の問題は、現代の社会理論の重要なテーマです。
4. 近代以後への問い
近代の合理化はどこまで進むのか、それを乗り越える形があるのか。リスク社会論や再帰的近代化論など、現代の理論はこの問いを引き継いでいます。
TSIRの研究との関わり
TSIRが扱う家族・子育て・働き方の選択は、効率や計算の論理が浸透した現代社会のなかで、人々が自分の人生をどう組み立てているかを問うテーマでもあります。プロジェクト「仕事・育児をしながら創作をする理由」では、合理化された日常のなかに、効率の物差しでは測れない営みをどう位置づけているかが、ひとつの読み筋になります。
関連する用語
参考文献・参考資料
※ 参考文献は順次追加・整理していきます。
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